個人的MVPはKENSO選手。
一つになることが趣旨の大会のメインで、彼は最後独りぼっちになり、
王者三人のフィニッシュムーブ三連発を浴びて敗れた。
何と言う大会趣旨との矛盾、汚れ役。
そして、彼の醸し出す独特の狂気じみた、怪奇的世界観。
何をやりだすか分からない、不安と期待感。
でも何気にそれは、プロレスというジャンルを象徴しているような気がする。
賛否両論あると思うけど、個人的に良かったなあ。
もちろん、彼みたいな選手ばっかだと困るし、
かなり対戦相手を選ぶ選手だと思った。
もともとプロレス向きの体躯をしてないような気がするし、
受身もイマイチだと思うけど、今後もすげー期待できる。
会場での人気も高いし、張り手もインパクトがあって良い。
結局この大会で自分の世界観を一番強烈に打ち出せたのは、彼だったし。
ドラマを感じさせたのは、大森に手を貸し立ち上がらせて握手すると思わせ、
冷徹に場外に投げ捨てた秋山準選手。
またこれも、非常識なプロレスの常識が感じられ印象に残るシーン。
まさにスターネス、彼らしい愛情表現。
2人のこれまでの物語を知るファンにとっては、
これからの展開を匂わせるわくわくするような場面でした。
入場から試合、退場まで、自身のスタイルを貫き通した秋山選手、
これからも期待してます。
他に、個人的にこの大会で光っていたと思うのは、
鈴木みのる、リッキー・マルビン、稔、平柳玄藩選手、
改めて好きになったのはTAICHI,大和ヒロシ選手。
鈴木みのる、TAICHI、小憎らしくて最高。
ああいうタイプがいないとプロレスは盛り上がらないし、
よほど人心掌握の術に長け、試合全体を見渡せないと出来ない芸当だし。
NO MERCYと金本・稔の刺激的な絡み。
Apollo 55のダブル・ノータッチ・トペ・コンヒーロは、
プロレスを初めて目にした方を驚かせるのに十分だった。
特に目まぐるしくシンプルに心に届くジュニアの攻防は、
何度でも映像を巻き戻して見てみたい衝動に駆られました。
三団体のチャンピオンはもちろん、ヘビー級の選手たち。
小橋建太、武藤敬司、それぞれの役どころで素晴らしい仕事をしました。
曙、吉江、浜、森嶋の超重量級コンビは、
体重以上のインパクトを観客に与えてくれた。
大会の構造上多人数の試合形式が多くて、
全選手が十分に各々の魅力を100点満点で発揮できたとは言いがたいけども、
全ての試合がメインと言っていいほど充実した内容でしたね。
ただひとつ残念なのはオーラビジョンが無かったこと。
全国的な節電傾向、経費を差し引いた興行収益を寄付するというスタイル上、
仕方ないことなのかもしれない。
ただ、この大会の裏テーマの一つに、
「プロレスの復興」というものがあると思うんすよね。
試合の細かな状況や選手の表情を見るのはもちろん、
煽りVTRで選手のこれまでのストーリーや試合のテーマ、必然性を深く知る。
もともとのプロレスファン、それにやはり初めてプロレスを見に来てくれた方に、
より親切な、分かりやすく試合を観戦させる方法が重要だったんじゃないか。
パンフレットを2000円出して買って読んでも、やはり映像の説得力には勝てない。
新たなファンを取り込むために、多少の無理は必要だと思うんですよ。
観客の熱を被災地により強く届けるための装置としても。
もともとプロレスは非常識なモノだし。
日本にプロレスが必要だとバカ正直に信じてるし。
まあでも、いろいろと難しいのかね。
総合すると、素晴らしい大会だったと思う。
団体のそれぞれの格、立ち位置、抱える課題もはっきりした。
新日本は、どん底を乗り越えて名実ともに現在の業界の盟主だということが、
より確実なものになった。
現エースの棚橋弘至、次代のエースと目される内藤哲也。
彼らに共通するのは、技術やプロレスに対する真摯さに裏打ちされた明るさ、華。
今の時代の求めるものに合致し、ファンの心を捉えていると思う。
それに団体内の選手層の厚さ、あらゆるメディアを使った巧みな情報戦術、
ファンの心をくすぐり、捉えるストーリー作り。
しばらくは、新日本が日本のプロレスを牽引していくんだろう。
棚橋同い年だし、頑張れ。
全日本も、幾多の苦難を経て若手の育成に成功し、選手の粒も揃い始めて期待が持てる。
何でもあり、おもちゃ箱のように明るく激しく楽しく、キャリアの浅いファンにも届くプロレスを展開している。
内藤、真田の越境次世代エース対決も、ぜひ実現させて欲しい。
実は今回の大会を見て、多くの人にまず見に行きたいと思わせたのは、
全日本プロレスではなかったんじゃないかな。
NOAHは、今後もいばらの道を歩んでいくことが予想される。
プロレス団体の保守本流を自認する彼ら。
保守というのは、スタイルを守るあまりに、そのときどきの課題を先送りする傾向にあると思う。
NOAHの現在は、まさにそんな傾向を示していると思う。
でもその分、NOAHがどのような変化、改革をしていくのか目が離せない。
僕が最も注目しているのは、NOAHの今後です。
多くのひねくれたプロレスファンは、落ち込んだNOAHの動きを静かに見守ってる。
メインでの潮崎、杉浦の絡みは、やはり他を圧倒するヘビーの説得力があった。
積み上げてきた、確かなプロレス技術と試合内容を活かして、
全盛期の盛り上がりを取り戻して欲しい。
次回仙台大会にも期待。今度はチャンピオン同士の対戦や、
ヘビーもジュニアも対抗戦の色を押し出したものが見たい。
今大会で業界が一つになったってことで、
次は「戦い」というプロレスもう一つの本質も見せるべきと思う。
僕はこの大会に、プロレスが団体の垣根をもう一段階取り払うことで、
もっともっと面白くなる可能性を見ました。
プロレスはこういう状況下でこそ、力を発揮するように思う。
だからプロレスを、もっと知って欲しい。もっと利用して欲しいっす。
あ、あとオーロラビジョンが無くても永田の白目はやってほしかったなー。
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